『せかいいちうつくしいぼくの村』という絵本を読みました。ほっこりする絵と物語、舞台は中東のパグマンという美しい村です。夏になると果物がたわわに実り、村じゅうがあまい香りにつつまれ、村の人たちは家族そろって、あんずや、すももや、さくらんぼを収穫します。小さな男の子のヤモはこの季節が一年で一番楽しくて、兄さんのハルーンと競争しながらかごいっぱいに収穫しました。しかしこの年の夏、兄さんは戦争に兵隊で行っていていません。ヤモは父さんと一緒にすももとさくらんぼを町に売りに行くことになりました。村の人たちも「おーい、ヤモ。おでかけかい。たくさん売れるといいね」と声をかけてきます。お父さんは街の広場ですももを売り、ヤモはバザールを周りながらさくらんぼを売り、食堂で遅い昼ご飯を食べました。父さんは言いました。「ヤモ、後でびっくりすることがあるよ」「え! なになに!?」 果物を全てを売り終わると、ヤモは父さんの肩の上で大きな声で歌います。「♪なんだ、なんだ?びっくりすることってなーんだ♪」 父さんは羊の市場に行き、儲けたお金を全部使って真っ白な子羊を一頭買いました。ヤモの家の初めての羊です。こんな綺麗な羊は村のだれも持っていません。「さあ、家へ帰ろう。羊を見たら、きっとみんな驚くよ」ヤモは大喜びで村へ帰りました。なつかしい匂いがします。たった一日いなかっただけなのに、とても長い旅から帰ったような気がします。「パグマンはいいな。せかいいちうつくしいぼくの村」ヤモはそっとつぶやきました。「ハルーン兄さん、早く帰っておいでよ。うちの家族が増えたんだよ」 ヤモは父さんに頼んで、白い子羊に「バハール」という名前をつけました。「春」という意味です。
私はほっこりしながら最後のページをめくりました。そこには衝撃の一文のみありました。しばし動けませんでした。絵本でこんなに衝撃を受けたことはありません。そして息子に読ませようと思いました。子どもたちに読ませたいと思いました。